「またペペが脱走した!」
わが家では、洗濯物を干すスペースが1階にあるわけですが、その洗濯物を干す瞬間をねらって、愛犬ペペは脱走します。
さっきまでソファの上で丸くなってたはずなのに、足元を黒い塊が、さっと通り抜けたと思うと、それがペペなのです。
それはまるでジェット機並で、あっという間に見えなくなってしまいます。
「ペペ!」と呼んでも、むなしく声だけが空回りします。

弾よりも早く、あっという間にひとっ飛び
帰巣本能ゼロ
昔、遠い場所ではぐれた犬が自宅まで帰ってくるというテレビドラマがありました。
子供ながら、「犬の優れた嗅覚と帰巣本能ってすごいな」と感動したのを覚えています。
「パパッ! ペペが、ペペが脱走しちゃった。洗濯物を干している間に……」
「えっ! あ、でもだいじょうぶだよ。犬には帰巣本能があるからね。戻って来るよ」
「そうなの、よかったぁ」
ところが、洗濯物を干し終えてもペペは帰ってきません。
心配になったママが「私、ちょっと見てくる」とペペを探しにいきました。
5分くらい経ったでしょうか、ペペを抱っこしてママが帰ってきました。
「どこにいた?」
「ゴミステーションのとこ。臭いをクンクン嗅いでいた」
その後も脱走を繰り返したペペは、一度も自力で帰ってきたことはありませんでした。
あるときは公園にいたり、あるときはまったく知らない家の玄関先で座っていたり、あるときは散歩中の犬とじゃれあったり……。
ペペの帰巣本能はどうなっているんだ。
この前も全然知らない人に抱っこされているところを発見しました。
「あ、すいません、それ、ウチの犬です」
「あー、よかった。貯水池の近くを歩いていたから、この辺のワンちゃんかと思って。よかった飼い主さんが見つかって」
貯水池は本通りのすぐそばにあります。
家から500m近くも離れている場所です。
通りに出ちゃえば、ペペの帰巣本能レベルからすると帰って来るのは不可能。
しかも、クルマの量も激しくなり、危険極まりない。
危うく一線を越えてしまいそうになったペペを連れ戻してくれたご近所さんに感謝です。
そして「なんとしてでも脱走癖を止めさせねば!」と思うパパでした。

テラス窓から外の様子を伺うペペ
脱走癖を止めさせるしつけ
犬のしつけ教材「イヌバーシティ」で脱走しない犬のしつけについて学びます。
脱走のしつけは、意外にシンプルでした。
具体的な方法はイヌバーシティを購入してご確認ください。
これまでのしつけのなかで、いろいろな行動を直してきました。
ですが、散歩のときは我先にとペペが玄関に行き、玄関ドアを開けろ開けろせがむのは直ってないし、お仕置きのクレートから出るときも油断するとダーッと出ようとしてしまいます。
そこで、いろんなシーンでイヌバーシティの教えに従ってペペをしつけることにしました。

実家に帰るときもとあるしつけを徹底
大脱走、ついに失敗に終わる

テラス窓が開いても脱走せずにいられるか
しつけを試し始めてからしばらく経ちました。
ペペをテラス窓の近くまで呼び寄せます。
窓の鍵に手をあてただけで、ペペが興奮しました。
窓を開けることがわかっているのです。
でも、いつもの訓練通りにあることをすると、興奮から窓をガシガシしていたペペが、ちょこんとお座りをします。
よしよし、これまでのしつけの積み重ねです。
いよいよテラス窓を開けました。
その瞬間、ペペの身体が一瞬、反応しました。
そこですかさず訓練で散々行ってきたことを実行します。
すると、ペペは我に返り、座った状態を維持することができました。
そいて、ついに窓は完全に空きました。
それでもペペは座ったままです。
視線だけでパパを追い、様子を伺っています。

テラス窓が開いてもペペは脱走することがありませんでした
しっかりと訓練通り行動できたので、合図を出してペペを外に出します。
大脱走が終わりを迎えた瞬間でした。
▼第19話につづく