「犬って、不思議よね……」
ふたりでくつろいでいるとき、突然、ママが言いました。
その問いにパパは、「なんで?」と答えます。
「だってね、お座りや伏せは覚えるのに、これしちゃダメというのは、なかなか覚えてくれないでしょ」
「言われてみれば、確かに」
「何度も同じことで怒っているのに、どうしてできないのかしら」
どうやって「ダメ」を教えたらいいの?
我が家の愛犬ペペに限らず犬は、0.2秒前のことを忘れちゃうそうです。
失敗したときもその場で怒らないと意味がないというのもそれで、例えば、トイレの失敗も現行犯でない限り、騒がず慌てず怒らずの忍耐の固まりとなって、黙々と後始末をするのが鉄則です。
今を一生懸命に生きる、それが犬なのです。
お座りや伏せは、ほめたり、遊んだり、おやつをあげたりをその行動から0.2秒以内に行っていたから覚えているんでしょうね。
これも目の前にぺぺがいた時だからできたことです。
してほしいこと、YESを覚えさせるのは、比較的簡単だと思います。
そういう状況を飼い主が作ることができるので、できたら、クリッカー訓練をすればOKです。
でも、NOも0.2秒以内が勝負なので、タイミングを間違えると意味がないし、飼い主のほうでコントロールできない分、時間もかかってしまいます。
犬のしつけ教材「イヌバーシティ」に、この「ダメ」を教える方法について解説がありました。
大きくは、2つあるのですが、具体的なやり方はイヌバーシティを購入してご確認ください。
そのどちらも、飼い主が大きな声を出して、「ダメ!」って注意していないのがポイント。
我が家はちゃんとできていたかな。
パパは、これまでを振り返ってみました。
ペペ、今日も反省中
クレートで反省するペペ「ペペったら、もぉ、何度言ったらできるの!」
また、ママが怒っています。
どうもウ〇チをトイレシート以外でしてしまったようです。
ママはすごい形相で追いかけると、ペペは逃げるようにクレートに入ります。
クレートがお仕置き部屋なのか駆け込み寺なのかわかりません。
そういえば、こんなこともありました。
パパが帰って来たとき、ペペはクレートの中にいました。
いつもなら飛び跳ねて喜ぶのですが、クレートの中で耐えるようにじっとしています。
「あれ、ペペ、どうした?」
「ママが怒ったからクレートで反省しているの」
こういうときは、パパがいくら「おいで」と呼んでも出てきません。
ママの許しがないと絶対に出てこないのです。
命令を聞くのはいいことですが、これは行き過ぎた主従関係のような気がします。
今風にいえばパワハラです。
本来であれば、飼い主と犬は信頼関係で結ばれていなければなりませんが、NOのしつけがエスカレートすると単なる怖い人になってしまいます。
それだけ「ダメ」を教えるのはデリケートなのです。
ダメを伝えるにはこれだ!
普段のペペは、リードをつけてないので、「ダメ」を教える方法として、イヌバーシティにある方法を行うことにしました。
ペペは、家の近所に犬が通ると「キャンキャン」と鳴きます。

家の外の様子が気になります
さっきまで寝床で寝ていたのに、首を持ち上げたかと思うと、一目散にテラス窓まで走りより、「キャンキャンキャン」と飛び跳ねます。
ツメで引っ掛け、レースのカーテンを破いてしまうことも(オーダーカーテンなのに……涙)。

レースカーテンをツメでひっかいた痕
「ペペ、うるさい!」
そう大きな声を出して注意しても止めようしません。
そのうち、ママが血相を変えて、お尻をピシャリすることもあります。
キャンキャンキャン!
この日も近所に犬が散歩しているようで、いきなりペペがけたたましく吼えました。
イヌバーシティの「ダメ」を試すときがきました。
そのとき、パパがある方法でダメを伝えます。
ペペは少しびっくりした様子で身体をビクッとさせました。
それでもまだ鳴くので、再びダメを伝えます。
我に返ったのか、ペペは鳴くことを止め、テラス窓から身を離しました。
そのとき、パパがむくっとソファから立ち上がると、すると、ペペはさらに窓から離れ、トコトコと自分の寝床に戻っていきました。
この間、パパはひと言も発してはいません。
「ダメ」を教えるって、こういうことか!

それってやってはいけないことだったの
信頼関係を壊すような、大きな声を出したり、お尻を叩いたりする必要はないんです。
犬にとって「飼い主のことが好き」でなければ、よい主従関係は築けません。
YESを教えるクリッカー、NOを教えるしつけ、パパは自分自身のレベルが上がったことを感じるのでした。
▼第10話につづく